ユニットセットアップ・スピーカーシステムのすすめ 第3話~臨場感の再現とは(後編) ~

2006年1月1日

【 ユニットセットアップ・スピーカーシステムのすすめ 】

                       audio union 町田店 西村 巧

 

第三話  『 臨場感の再現とは?(後編)

 

収録現場の『 臨場感 』・・・ そこに自らも居る様な錯覚さえ覚えるリアリティー。

再生装置の違いで『 臨場感 』に差が生ずるとは?

-------------------- 前回からの 続き -------------------

 

「はたして、今聞いている音楽再生の臨場感は部屋の影響でしょうか?もしそのせいならCDを止めた瞬間に部屋の響きが残るはずですよね・・・」

私は間を置きながら、曲の途中で数回ポーズボタンを押した。

「部屋の響きは感じないな・・・広さの割りに、むしろデッドな位だ!」

木島さんは不思議そうに周囲に目をやった。

「この売場は図面上12坪有りますから38㎡を超えていますが、これだけ多くの大型商品が詰め込まれてるので、定在波やフラッターエコーが発生し難い環境になっているんです」

「へぇ~ じゃあ何が『臨場感』の決め手なんだい?」と・・・ちょっと弱り顔の彼。

「ここには木島さんが持っているスピーカーと同じ物は有りませんが、それに近いもので聴いてみましょう」とCDやアンプはそのままに、SP.システムを切り替えた。

「あれっ・・・なんじゃこりゃ!今まで気持良くコンサート会場のS席で楽しんでいたのに、会場脇の廊下に出されちゃった感覚だな」

CDやアンプには触っていませんから、今鳴っているシステムもさっきのSP.も同じ信号つまり、同じ電流で動かされている結果です」

私は再びセレクターを押し、再生SP.システムをホーン型セットアップに切り替えた。

「こりゃあ・・・えらい違いだな!この豊かな響きがたまらんねぇ」と、ご機嫌な様子。

「ここで、CDソフトを替えてみますね」そう言って私はJazzLiveをかけた。

「おや?今度は楽器の音がグッと近いなぁ~床のきしむ感じ・・・マドラーでグラスの氷をかき混ぜる音、店のレジで会計する客・・・」

「会場の広さや、天井の高さはどうですか?」と彼に尋ねてみると

「さっきのコーラスに比べると、こっちは狭い環境・・・なるほど!これが『臨場感』か」

「はぃ、収録現場の状況がちゃんと伝わってくる感じが良いでしょ」

「どうして・・・こんな差が出るんだろ?」

 

ここで『我々は音のどの部分を聞いて臨場感を感じ取っているのか』を説明しておく必要があるだろう。

例えば学校の教室内を歩く足音と体育館のそれと・・・目隠しをしても環境の違いは判る。判断材料は色々有るが、その多くは反響時間のズレや残響時間の長さから・・・と言える。

この足音を録音して、他者にヘッドフォンで聞いて貰っても答えは同じ結果。

つまり、収録環境の反響・残響の違いを聞き取って『臨場感』の決め手の一つ『広さ』を感じている訳だ。

 

ここからが本題!(前振り長いなぁ~オイ!)

一般的なコーン型やドーム形状の振動板を使ったSP.に対して、ホーン型トランスデューサーでは何が違って、どんな特徴から『臨場感の再現性』に差が生まれるのか?・・・ホーン型セットアップSP.は、そこいらに長けているってアタリを説明せにゃぁ~なるまい。

 

普段我々は、アンプのヴォリュームつまみを回して音量を調節する事に何の違和感も抱いていない為、事の他 気にするべくも無いが・・・『0MAX.迄、アンプからの電流量に応じてSP.の音量も上がる=Vol.と音の大きさは比例関係に有る』と感じてしまう・・・これが、落とし穴。

ソース(CDプレーヤー等)からの電気信号を増幅する役割を担っているアンプは、極僅かな信号をも逃さず電流変換しSP.へと送るが、それを受け取るSP.側は、何とした事か・・・微小レベルの電流に対して大半の物は音にならない。この微小信号だと聞こえなくなる理由には幾つか有るが、その要因の一つに『内部損失(エネルギーロス)』が挙げられる。

最近のSP.群を眺めると、柔らかい素材のダイアフラム(振動板)を使ったモノが主流に。

高調波歪を嫌ってその様な素材を選定したものと思われるが、この手のダイアフラムは微小信号時に その素材自体が振動を吸収してしまう為、殆ど動かず音波を発生しない。

当然、システム能率(出力音圧レベル)も低くなる。

音楽再生上 良からぬ点は、収録した時の反響成分や残響成分といった余韻を吸ってしまう為、伸びやかさの感じられない 先の詰まった様な狭い音表現になったり、抑圧された様な閉塞感、躍動感が失われた覇気の無いムードになってしまう・・・という辺り。

その点 ホーン型SP.(コンプレッション・ドライバー)は、『内部損失』が極めて少なく、音圧レベル(SPLSound Pressure Level:○○dB/W/m表記)がメチャクチャ良いので(一般的なSP.と比較し、その差は2040dB10100)Amp.からの音量(電流)に対して、極めて正確に反応し、動き得る能力を備えている。

また、正面音圧が高く拡散が少ない(主にラッパの向いている方向に音が飛び、あまり拡がらない)為、野外は勿論 ホールや映画館、スタジアム等でも採用されている。

この特質・・・実はホームオーディオでも威力を発揮する!リスニングポジションに向けて設置する為、そこ以外には拡散が少ない為、壁や天井・床からの反射成分が少なく、明瞭度が良くなる。更に言えば リスナーが感じている音の大きさ程 外部には漏れていない為、ご近所さんにも迷惑にならないのだ。(o)

 

「決めた!もう メインスピーカーそのものを入れ替える事にする!」と木島さん。

「えっ!そのSP.までも下取りとなりますと、こっちからお金を払わなくちゃならなく・・・」

「んっ・・・見積り中のSACDプレーヤーは外して!手元に残して置きたいからさぁ」

「なるほど、その路線ですと・・・差額は数万円ですねぇ~」

「そうと決まれば、今からでも良いよ!()

「解りました!それでは早速梱包に取り掛かると・・・()

「いやいや() 部屋が片付いたら連絡するよ!これ・・・売約済みにしておいて!」

 

そう、ホーン型ユニットセットアップ・スピーカーシステムは、エネルギー変換効率の良さ故、微小電流から振動板が反応 音波を生む為『正しく臨場感を再現出来る!』・・・ついまた言い過ぎ・・・『臨場感の再現性に優れている』位にしておこうか。

つまり、記録物の中の『響き』や『余韻』までも余す所無く音にしてくれるので、収録現場の雰囲気さえも伝えてくれる・・・って事は確かだろう。

 

 

2012.07.19 改訂版

2006年1月1日
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