ユニットセットアップ・スピーカーシステムのすすめ 第1話~聴き飽きるとは~

2010年1月1日

【 ユニットセットアップ・スピーカーシステムのすすめ 】

                       audio union 町田店 西村 巧

 

第一話  『 聞き飽きるとは?』

 

「こうやってCD soft 買って帰っても・・・何かこう、ワクワクしないっつぅ~か、昔みたいに新鮮な喜びが無いって感じで・・・。 音楽は好きだよ、今でも!だからもっと楽しみたい訳よ」と悩みを打ち明けて来た恩田さん(仮名)は、15年来のお得意様。

 私は彼の言葉の中の『ワクワク感・新鮮な喜び・楽しみたい』と言うポイントを掴み、現在の使用機器を細かく聞き出すと共に設置状況なども確認してみた。そのシステムは、6年程前に一度訪ねた時とさほど変わってはいなかった。

「恩田さん、そろそろスピーカーの買い替え時機ですね」

「買い替えだって?しかも最後にそろえたスピーカーを?古いのはアンプの方だよ!」

「はい、使用機器に不具合が無いのならば、尚更 」と私。

キョトンとする恩田さんに、現在使用の機器から表現される音の印象を詳しく聞き出した。「新譜をかけても聴く前から何と無く想像出来ちゃうんだよ、出てくる音が・・・」

どんな音楽ジャンルでも、似た様な表現で再生されるらしい。

「恩田さん、今日買ったCD soft ここで聴いてみます?」と私。

「今更って感じで、ちと恥ずかしいけど、まぁ良いか」

そう言いながら彼はdisk union袋のセロテープを切り、2枚を取り出し、ファクトリーシールを破って手渡してくれた。 

MIKE OLDFIELDの『OMMADAWN』『CRISES』私は思わずニンマリ・・・(こいつぁ~良いDEMO盤)。 

「笑うなって!レコードは磨り減る程聴いたけどCDでは持ってなかったんだよ」と恩田さん。

「いやいや、笑ってませんって」そう言うと私は、プレーヤー・アンプ・スピーカーをセレクターで選び、早速『OMMADAWN』を再生。

「日頃耳にするのは、こんな感じの音ですね?」

「そうねぇ~装置や環境は違うけど・・・印象としては・・・やっぱこんなもんだろなぁ~」

「このアルバムを初めて聴いた時の印象は?」

「そりゃあもう、大感激さ!A面を聴き終えて放心状態になり、針を上げたくても暫く立ち上がれなかった位だ」

「さて、この名曲・・・仰られる通り『やっぱこんなもん』なのでしょうか? 曲の途中ですが、アンプやCDはこのままで、スピーカーだけを変えますよ」と、セレクターでセットアップスピーカーに切替た。

「何?こいつぁ~スゲエ!」恩田さん・・・固まってしまいました。

(おぉ~い、ここは試聴室だけど、売り場でも有るんで・・・)様子を窺うべく顔を覗き込んだ時

「もうちょっと、この先のコーラスが・・・」結局PART ONE 19:14 を聴き通してしまった。おっと こいつはレコードじゃ無いから、PART TWOが始まる前にトレーをOPEN

「良いなぁ~感動再現だ。こんな音で聴けたら・・・」

「お買い求め頂き、誠に有難うござ・・・」

「まだ買うって言ってないよ()。だいたい何処の製品なんだい?」

「はぃ、ここの製品にございます」

「ユニオンオリジナルって事?」

「そうとも言えますが、私が提案している『ユニットセットアップシステム』です」

「西村さんが組み立てたものなの?」

Yes!

「驚いたなぁ~これ聴いちゃったら、家のは聴く気がしないや・・・しかもペアで、60万円台とは家のより安い・・・買い替えかぁ~確かに家のシステムでの音楽表現に飽きて来た所」

はい、そこポイント!」と私が大声で言ったものだから、恩田さんは話を途中で止め、目を丸くしてこちらを見た。

「恩田さん自身が既に気付いてるじゃないですか『飽きて来た』と・・・」私は話を続けた。

 

人間誰でもが持っている『飽きる』という生理的感情・・・これは、視覚で云う所の『見飽きる』や味覚の『食べ飽きる(飲み飽きる)』にも通ずる共通な感情。

医学的にも解明されていて、継続的な場合に限らず断続的な刺激であろうとも、毎度同じ様な刺激ばかりを受けていると起こるものだ・・・と。

つまり今回の『聞き飽きる』は、CD soft を入れ替えて演奏しても、再生するオーディオシステムが持つ特徴(悪く言えば『癖』)が、常に付き纏う結果として起こっている現象。

それでは、再生機器の中で一番『癖』がきついのは・・・?言わずもがな最後に仕事をする『音への変換機:スピーカー』である。

スピーカーの『癖』から逃れられれば 殆ど解決する『聞き飽き現象』だが、この『癖』なるものは、そう簡単に解消出来るものでは無い。

世界中のスピーカーメーカーが四苦八苦しているのも解る気がする。

「そうだったのかぁ~こんなに音離れが良いんなら『CRISES』はさぞかし気持ちが良いだろうなぁ」

「せっかくですから サワリだけでも体験してみますか?」そう言って私はリモコンで12分過ぎ迄飛ばし、タイトル曲エンディングを再生。

聴き終えた彼は私に向かってこう言った

「安いモデルに買い換えるのは悔しいけど、下取り差額の見積書を作って頂戴。でも、カミさんに怒られそうだなぁ~(笑)」。

「確か、奥様も音楽を聴かれますよね?」

「そうだよ、Classic メインで・・・ 聴いてる時間は俺より長い位じゃないだろうか」

「それならば話は早い、今度の休みに奥様とご一緒に改めていらっしゃいな!」

「俺と違って、家のは Classic だよ!大丈夫?」

「心配ご無用。あっ、それと日頃から気に入って聴いてるCD softも忘れないでね」

過日ご夫婦で来店、数曲を比較試聴の後、即決。旦那さんの心配とは裏腹に、かえって奥様の方が喜んでいた様子・・・(^^)。

そう、ユニットセットアップ・スピーカーシステムは『聞き飽きない』・・・これは過言、『聴き飽き難い』・・・位にしておきますか。

『癖』が無い訳では無く、一般的なシステムと比較すると・・・そいつを少なく出来る可能性を数多く秘めている事は、確かですから。

 

【 2012.04.30 改訂版 】

 

2010年1月1日
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